かつらがばれた

Cさんのかつらを拝見させてもらったが、それはひどい状態であった。

もちろん、劣化していることは本人も承知しているが、そのひどさは認識してはいらっしゃらないようだった。
一番の問題は、かつらの髪がチリチリになっていることである。
かつらでよく使用される合成毛髪は、天然毛髪と違い、色落ちもほとんどないし、表面が荒れて絡むこともない。
だから永遠に使えそうなイメージがあるのだが、実際には1年も使っていると毛先がくるくると丸まってくる。
毛の先を爪でしごくと、くるん、と丸まるが、そんなイメージである。(実際はそこまでひどくはないが)
これは自然な毛髪ではあり得ない状態のため、端から見ると、とても不自然なのだ。
襟足は自毛だから普通にストレートなのに、頭頂部だけ、くるん、である。

Cさんの場合、明確にばれた、という瞬間はなかったが、Cさんがかつらであることは皆知っていた。
Cさんがそのことに気付いたのは、まったくの偶然であった。

(続く)